北海道に移住した人たちのリアルな声|成功も後悔も、全部聞いた

「北海道に移住したいけど、実際どうなの?」。制度や手続きの情報はネットにあふれていますが、移住した人が何に驚き、何に苦労し、今どう感じているか──その部分は意外と見えてきません。

このページでは、北海道に移住した方々に聞いた「本音」をまとめています。仕事、暮らし、冬の厳しさ、人間関係。良いことだけではなく、後悔や想定外だったことも隠さず掲載しています。

掲載している体験談は、2019年〜2023年に北海道へ移住した方々への取材および編集部メンバーの実体験をもとに構成しています。KURASO HOKKAIDO編集部自身も北海道移住の経験者です。だからこそ、きれいごとだけでは終わらせません。

北海道移住の全体像を先に知りたい方は、北海道移住ガイド(総合)もあわせてご覧ください。

移住者の声を集める理由

移住の情報を調べると、支援制度の一覧や手続きの流れはすぐに見つかります。でも「実際に住んでみてどうだったか」は、なかなか出てきません。

自治体のパンフレットには成功事例が並び、個人ブログは書いた人の状況に左右されます。制度の説明と、暮らしの実感のあいだには、かなりの溝があります。

このページは、その溝を埋めるために作りました。仕事の変化、お金のリアル、冬の暮らし、人間関係。移住した人が最初の1年でぶつかる壁と、数年経って見えてきた景色を、できるだけそのまま載せています。

編集部も全員が移住経験者です。「最初の冬に絶望した」話から始めているので、安心して読み進めてください。

良いことだけを並べたページにはしていません。後悔や失敗も含めて掲載しているのは、それが本当に役立つ情報だと考えているからです。

移住者の声──仕事編

移住で最も大きな壁になるのが「仕事」です。リモートワーク、起業、道内企業への転職。選んだ方法によって、移住後の暮らしはまったく変わります。ここでは3つのパターンで、経験者の声を紹介します。

リモートワークで移住した人の声

項目内容
氏名佐藤さん(仮名)
年齢34歳
移住前東京都杉並区
移住先北海道帯広市
移住時期2021年
家族構成夫婦
仕事Webディレクター(フルリモート)

「通信環境は正直、不安でした。帯広市内はとくに問題なかったですが、物件選びの段階で光回線が引けるかどうかは必ず確認したほうがいいです。内見のときに不動産屋に聞いても『たぶん大丈夫』みたいな返事しか返ってこないので、自分でNTTに問い合わせました」

「仕事自体は東京にいたときと変わらないんですけど、同僚との距離感は確実に変わりました。雑談が減る。Slackで意識的に声をかけないと、存在感が薄くなる感覚はあります。最初の半年は『忘れられてるんじゃないか』と不安になることもありました」

「在宅の孤独感については、妻も同じリモートワーカーなので、2人で相談しながら乗り越えた感じです。週に1〜2回はコワーキングスペースに行くようにしています。帯広には『LAND』というスペースがあって、同じように移住してきたフリーランスの人と知り合えました。この人脈がなかったら、もっときつかったと思います」

リモートワークでの移住は「仕事は変わらない」と思いがちですが、コミュニケーションの質は確実に変化します。移住前に、上司やチームとの関係性を整理しておくことが重要です。

起業・個人事業で移住した人の声

項目内容
氏名中村さん(仮名)
年齢41歳
移住前神奈川県横浜市
移住先北海道富良野市
移住時期2020年
家族構成夫婦+子ども1人
仕事カフェ兼ゲストハウス経営

「富良野を選んだのは、観光客の流れがあるからです。カフェだけだと冬に売上が落ちるので、ゲストハウスを併設して年間の収入を平準化しようと考えました。計画段階では机上の空論でしたけど、結果的にこの判断は正解でした」

「資金は自己資金400万円と、日本政策金融公庫の創業融資で600万円。合計1,000万円でスタートしました。物件は空き家バンクで見つけた古民家を改装しています。改装費が想定より150万円ほど膨らんだのは反省点です」

「地域の人間関係は、プラスもマイナスもあります。町内会のつながりで地元の食材を仕入れさせてもらえるようになったのは大きい。一方で、新しい店ができると『よそ者が何やってるんだ』という目も最初はありました。これは1年くらい通い続けて顔を売ることでしか解決できません」

「売上が安定したのは2年目の夏です。最初の1年は赤字。冬はほぼ収入ゼロの月もありました。貯金を切り崩す日々は精神的にきつかったですが、『2年で黒字化できなければ撤退する』と最初に決めていたので、冷静でいられました」

北海道での仕事の選択肢については、北海道移住と仕事──選択肢と現実で詳しく解説しています。

転職して移住した人の声

項目内容
氏名山田さん(仮名)
年齢29歳
移住前埼玉県さいたま市
移住先北海道札幌市
移住時期2023年
家族構成単身
移住前の仕事人材系企業の法人営業
現在の仕事食品メーカーの営業

「年収は正直に言うと、100万円ほど下がりました。前職が480万円で、今が380万円。ただ、家賃が8.5万円から4.5万円になったので、手元に残るお金はそこまで変わっていません。むしろ飲み会が減った分、貯金は増えています」

「転職活動はかなり苦労しました。札幌でも求人自体はあるんですが、首都圏と比べると職種の幅が狭い。とくに自分のような法人営業の経験を活かせるポジションは限られていて、応募から内定まで4か月かかりました」

「職場の雰囲気は良い意味でゆるいです。前職では終電近くまで残業していましたが、今は18時に退社できます。最初は『こんなに早く帰っていいのか』とそわそわしましたが、半年経った今は、前の働き方が異常だったと思えるようになりました」

「ただ、キャリアアップという面では不安もあります。東京にいれば転職先はいくらでも選べましたが、札幌だと選択肢が限られます。30代のうちにもう1段キャリアを上げたいと思ったとき、道内で実現できるかは正直わかりません」

年収ダウンは多くの転職移住者が経験します。ただし生活費も下がるため、「可処分所得」で比較するのがポイントです。

移住者の声──暮らし編

仕事と並んで気になるのが、日々の暮らしです。とくに冬の生活、お金、人間関係は、移住前にどれだけ調べても実感がわきにくいテーマです。ここでは、実際に住んでみて初めてわかったことを中心に紹介します。

冬の暮らしについて

北海道移住で最も多い不安が「冬」です。ここでは、「慣れた」という人と「毎年つらい」という人の両方の声を載せています。

鈴木さん(仮名)・38歳|東京都→旭川市|2020年移住

「最初の冬はショックでした。11月でマイナス10度。朝、車のドアが凍って開かない。鼻毛が凍る。こんな世界があるのかと思いました。でも3年目の今は、正直慣れました。除雪は面倒ですが、筋トレだと思えばいい。暖房費は月2万円前後。東京のワンルームの光熱費と比べると高いですが、部屋全体が暖かいので、こたつに縮こまるよりずっと快適です」

高橋さん(仮名)・45歳|愛知県→名寄市|2021年移住

「4年目ですが、冬はやっぱりきついです。名寄は旭川よりさらに北なので、12月〜2月はほぼ毎日除雪があります。朝5時に起きて30分除雪、帰宅後にまた30分。暖房費も月2.5万〜3万円かかります。慣れたかと聞かれたら、『慣れた』というより『覚悟を決めた』が正しい表現ですね」

小林さん(仮名)・32歳|大阪府→千歳市|2022年移住

「千歳は札幌圏なので、道北や道東ほどの厳しさはありません。それでも最初の冬は、冬道の運転が怖くて1か月ほどは車を出せませんでした。慣れるまでに丸1シーズンかかりました。今は普通に走れますが、毎年11月にスタッドレスに替えるとき『また来たか』という気持ちにはなります」

エリアによって冬の厳しさは大きく異なります。北海道の地域別ガイドで気候の違いを比較できます。

生活費について

「北海道は生活費が安い」とよく言われます。実際のところはどうなのか、移住前後で家計がどう変わったかを聞きました。

田中さん(仮名)・36歳|東京都世田谷区→上士幌町|2022年移住|夫婦+子ども2人

「家賃は劇的に下がりました。世田谷で2LDKに月13万円払っていたのが、上士幌では3LDKの一軒家で月4万円。ただし、暖房費が冬場に月3万円ほどかかります。あと車が2台必要になったので、維持費(保険・ガソリン・冬タイヤ・車検)で年間60万円ほど。トータルで見ると月3〜4万円は安くなりましたが、『劇的に安い』とは言えません。食費は地元の直売所で野菜が安く手に入る反面、日用品や子どもの衣料品の選択肢は限られます」

伊藤さん(仮名)・28歳|大阪府大阪市→札幌市|2023年移住|単身

「札幌だと車なしでも暮らせます。地下鉄沿線の1LDKで月5万円。大阪の梅田近くで6.5万円だったので、月1.5万円ダウン。食費はあまり変わりません。外食は札幌のほうがやや安い印象ですが、大きな差ではない。生活費全体では月2万円くらい浮いています。ただしこれは札幌だからで、地方部に行くと車が必須になるので、状況は変わると思います」

北海道の生活費についてのデータは、北海道移住の暮らし基本情報でまとめています。

人間関係・地域コミュニティについて

移住先での人間関係は、暮らしの満足度を大きく左右します。都市部と地方で事情はまったく異なります。

渡辺さん(仮名)・40歳|東京都→ニセコ町|2019年移住|夫婦+子ども1人

「ニセコは移住者が多いので、『よそ者扱い』はほぼありませんでした。子どもの保育園がきっかけで地元の親御さんと仲良くなり、そこから芋づる式にコミュニティが広がりました。町内会にも入っていますが、行事への参加は強制ではなく、できる範囲でという雰囲気です。移住先選びで『すでに移住者がいるかどうか』は、かなり重要なポイントだと思います」

加藤さん(仮名)・35歳|千葉県→岩見沢市|2021年移住|夫婦

「最初の1年は正直、孤独でした。岩見沢は地元のつながりが強い地域で、新しい人間が入っていくには時間がかかります。自治会の集まりに顔を出しても、最初は会話の輪に入れない。転機は、地域の草刈りボランティアに参加したことです。汗をかきながら一緒に作業すると、急に距離が縮まりました。今は近所のおじいちゃんが野菜を持ってきてくれるくらいの関係になりましたが、ここに至るまでに1年半くらいかかっています」

私自身の経験でも、地域に溶け込むには「受け身では無理」でした。自分から動いて、顔を見せ続ける。地味ですが、これしかありません。

移住者の声──後悔・失敗編

移住の良い面だけを紹介しても意味がありません。ここでは「想定外だったこと」と「やり直すならどうするか」を、率直に聞いた声を掲載します。

「想定外だった」こと

複数の移住経験者から集めた「想定外」のエピソードです。

  • 「暖房費が月3万円を超えた月があった。灯油代をまったく計算に入れていなかった」(上士幌町・30代)
  • 「車がないと生活が成り立たない。スーパーまで車で20分。コンビニでさえ15分。徒歩で暮らせると思っていたのは甘かった」(中札内村・40代)
  • 「求人を調べずに移住した結果、希望する職種がなかった。結局、移住後3か月で札幌に引っ越し直した」(浦河町・20代)
  • 「夏の虫がすごい。田舎暮らしに虫はつきものだとわかっていたつもりだったが、カメムシの量は想像の10倍だった」(ニセコ町・30代)
  • 「子どもの同級生が学年に5人しかいない。友達関係の選択肢が少なく、合わない子がいても逃げ場がない」(美瑛町・30代)
  • 「最寄りの総合病院まで車で40分。子どもが夜中に高熱を出したとき、本当に怖かった」(遠軽町・30代)

想定外を完全に防ぐことはできませんが、「冬を一度体験する」「車の有無で生活圏を確認する」「求人を移住前に調べる」の3つで、大半のリスクは減らせます。

「やり直すなら、こうする」

後悔で終わらせるのではなく、「これから移住する人が同じ失敗を防ぐにはどうすればいいか」。経験者に聞いた教訓です。

「体験移住をもっと長くやればよかった」──松本さん(仮名)・37歳|札幌市

「2泊3日の体験移住で『ここだ!』と決めてしまった。夏の北海道は最高なんです。でも冬を知らずに移住した結果、最初の12月に心が折れかけました。最低でも1週間、できれば冬に一度訪れてから決めるべきでした」

体験移住の制度については、北海道の体験移住ガイドで詳しくまとめています。

「仕事を決めてから動けばよかった」──岡田さん(仮名)・33歳|旭川市

「勢いで退職して移住しました。『北海道に行けば何とかなる』と。結果、仕事が決まるまでの5か月間、貯金を切り崩す毎日。精神的にかなり追い込まれました。移住の情熱があるうちに動きたい気持ちはわかりますが、少なくとも転職先の目処は立ててからのほうがいいです」

「貯金が足りなかった」──木村さん(仮名)・31歳|帯広市

「引っ越し費用、敷金礼金、家具家電、車の購入。初期費用だけで150万円かかりました。移住前の貯金が200万円だったので、引っ越し直後に手元に残ったのは50万円。仕事が決まるまでの生活費を考えると、最低でも半年分の生活費+初期費用を用意しておくべきでした」

「家族ともっと話し合えばよかった」──藤田さん(仮名)・42歳|函館市

「自分は移住したくてたまらなかったけど、妻はそうでもなかった。『ついて来てくれるだろう』と思い込んでいた。移住後に妻が地域に馴染めず、夫婦関係がぎくしゃくした時期がありました。移住はひとりの問題ではない。家族全員が納得して動かないと、あとから歪みが出ます」

移住の仕事・お金の選択肢について知りたい方は、仕事のページもあわせてどうぞ。

大変なことはある。それでも、北海道に来てよかった

後悔も失敗もある。冬はつらいし、不便なことも多い。それでも「移住してよかった」と言う人がいます。最後に、その声を紹介します。

渡辺さん(仮名)・40歳|ニセコ町|移住5年目

「息子が外で走り回っている姿を見ると、来てよかったと思います。東京では公園に行くのも順番待ちだった。ここでは庭で雪遊びができる。教育環境がすべてではありませんが、子どもがのびのびしていること自体が、親としての安心材料になっています」

佐藤さん(仮名)・34歳|帯広市|移住4年目

「通勤がなくなったことで、人生の時間配分が変わりました。朝6時に起きて散歩する。夕方17時に仕事を終えて、妻と夕食を作る。東京にいたころは考えられなかった生活です。年収は上がっていませんが、生活の質は確実に上がりました」

田中さん(仮名)・36歳|上士幌町|移住3年目

「大変なことはたくさんあります。冬の暖房費、車の維持費、子どもの学校の選択肢が少ないこと。でも、朝起きて窓を開けたときの空気が違う。水がおいしい。スーパーに並ぶ野菜の鮮度が違う。こういう小さな積み重ねが、『ここに住んでいてよかった』という気持ちにつながっています。後悔はしていません」

移住は、良いことも大変なことも両方あります。大切なのは、両方を知ったうえで、自分で選ぶことです。

北海道への移住を考え始めた方は、まず情報を集めるところから始めてみてください。KURASO HOKKAIDOの移住相談ページでは、漠然とした段階からのご相談もお受けしています。

北海道への移住、考えていませんか?

KURASO HOKKAIDO編集部では、北海道への移住を検討中の方を対象に、個別の相談をお受けしています。「何から調べればいいか分からない」「仕事と住まいを同時に探したい」など、漠然とした段階でも構いません。

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