「北海道に移住したい」と思ったものの、何から手をつけていいか分からない。ネットで調べるほど情報が増えて、かえって動けなくなる。
この記事では、移住相談窓口の使い方から、支援金の申請方法、引越しまでの手続きを時系列で整理しています。編集部自身が北海道へ移住した経験をもとに、「最初の一歩」から「転入届を出すまで」を一本の線でつなぎました。
北海道移住の全体像については「北海道暮らしガイド」でまとめています。本ページでは、実際に動くための手順にしぼって解説します。

情報収集に3か月かけて、結局何も決まらなかった——という人を何人も見てきました。最初にやるべきことは1つだけです。
北海道移住、最初にやることは1つだけ
自治体の支援制度、住まい、仕事、子育て環境。調べる項目はいくらでもあります。そして調べれば調べるほど、「自分に合う地域はどこか」「本当にやっていけるのか」という不安が膨らんでいきます。
私も移住前、毎晩のようにネットで自治体の比較表を眺めていました。3週間で開いたタブは100以上。それでも「ここにしよう」とは決められませんでした。
結論を言います。まず移住相談窓口に連絡してください。それだけで十分です。


窓口の相談員は、あなたの家族構成・仕事の状況・希望する暮らし方を聞いたうえで、候補となる地域や制度を整理してくれます。オンラインで相談できるので、北海道まで行く必要はありません。費用もかかりません。
ネットの情報は「誰にでも当てはまる一般論」です。相談窓口は「あなたの条件に合った具体策」を返してくれます。この差は大きいです。
移住相談窓口の使い方
北海道の移住相談窓口一覧
北海道への移住相談を受け付けている窓口は、大きく3つあります。


| 窓口名 | 所在地 | 対応方法 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 北海道庁 移住相談窓口(総合政策部 地域創生局 地域政策課) | 札幌市中央区北3条西6丁目(北海道庁5階) | 対面・オンライン・電話 | 平日8:45〜17:30。夜間オンライン窓口あり。個別相談は事前予約制 |
| どさんこ交流テラス(ふるさと回帰支援センター内) | 東京都千代田区有楽町 東京交通会館8F | 対面・オンライン・電話 | 北海道に10年以上住んだ経験を持つ相談員が常駐。事前予約制 |
| 各市町村の独自窓口 | 各自治体 | 自治体により異なる | 移住先がある程度しぼれている場合に有効 |
北海道庁の窓口は、札幌と東京の2か所に設置されています。札幌窓口ではオンライン相談の夜間枠も設けられており、仕事終わりに自宅から相談できます。申込は北海道庁の移住定住ポータルサイト(総合政策部地域創生局地域政策課)から可能です。
東京・有楽町の「どさんこ交流テラス」は、ふるさと回帰支援センター(北海道の相談窓口)内に設置された北海道専門の相談ブースです。首都圏在住の方は、まずここに足を運んでみてください。北海道だけでなく全国の移住情報が集まる施設なので、他の地域と比較しながら検討できます。


北海道庁や各自治体がオンライン移住相談会を定期開催しています。イベント情報は北海道庁が運営する「Monthlyほっかいどう」で月ごとにまとめて発信されています。
相談会で聞くべきこと
「何を聞けばいいか分からない」という状態で連絡して問題ありません。相談員はそういう方に慣れています。ただ、せっかくの時間を有効に使うために、以下の項目を頭に入れておくと話が早くなります。
- 住居の選択肢(賃貸・空き家バンク・公営住宅)と家賃相場
- 仕事の紹介や斡旋制度はあるか
- 子育て・教育環境(保育園の空き状況、学校の規模)
- 冬の暮らしのリアル(除雪、暖房費、通勤への影響)
- 体験移住(ちょっと暮らし)の空き状況と費用
- 移住支援金の対象になるかどうか
特に「冬の暮らし」は、ネット上の情報だけでは判断しづらいテーマです。暖房費は地域・住宅の断熱性能・暖房方式でまるで変わります。相談員に自分の家族構成と想定する住居タイプを伝えれば、より実態に近い数字を教えてもらえます。



私が相談会で一番聞いてよかったのは「冬に引越すリスク」の話でした。記事の後半で触れますが、これを知らずに12月に引越していたら大変なことになっていたと思います。
オンライン相談の方法
Zoom等を使ったオンライン個別相談に対応する自治体が増えています。所要時間は30分〜1時間程度が一般的です。
予約方法は2つ。北海道庁の移住相談窓口に直接メールで申し込む方法と、ふるさと回帰支援センター経由で予約する方法です。どちらも無料で、まだ移住先が決まっていない段階でも相談できます。
移住先がある程度しぼれている場合は、その自治体のホームページから個別にオンライン相談を申し込むこともできます。函館市や上士幌町など、独自のオンラインセミナーを定期開催している自治体もあります。
移住支援金・補助金を整理する
「お金が不安で動けない」という声は多いです。実際、移住にはまとまった費用がかかります。ただし、使える制度を把握しているかどうかで、負担額は大きく変わります。
国の移住支援金(地方創生移住支援事業)


正式名称は「地方創生移住支援事業」。東京23区の在住者、または東京圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)から東京23区に通勤していた方が地方に移住した場合に、支援金が支給される国の制度です。


世帯での移住:最大100万円
単身での移住:最大60万円
18歳未満の子どもを帯同する場合:子ども1人につき最大100万円を加算
たとえば夫婦と小学生2人の4人家族が東京から北海道に移住した場合、最大300万円(世帯100万円+子ども100万円×2人)の支援金を受けられる可能性があります。
ただし、対象となるには複数の条件を満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 移住元の居住歴 | 移住直前の10年間で通算5年以上、東京23区に在住 or 東京圏から23区へ通勤。かつ直近1年以上は23区に在住 or 通勤 |
| 移住先 | 移住支援事業を実施している市町村(北海道内の多くの市町村が該当) |
| 就業等の要件 | ①道のマッチングサイト掲載求人に就業 ②テレワークで移住前の業務を継続 ③起業支援金の交付決定を受けている ④関係人口として市町村が認める要件を満たす——のいずれか |
| 居住の意思 | 申請日から5年以上、移住先市町村に継続して居住する意思があること |
「テレワークで今の仕事を続けながら移住する」ケースも対象になります。自分の意思で移住し、移住先を生活の本拠として週20時間以上テレワークを実施することが条件です。会社の転勤命令による移住は対象外です。
申請先は移住先の市町村です。北海道庁や国に直接申請するわけではありません。市町村によって申請受付期間や予算枠が異なるため、移住を決めたら早めに移住先の担当窓口に連絡してください。
制度の詳細は内閣府地方創生 移住支援金ページで確認できます。北海道の対象求人は北海道公式 移住支援金対象求人マッチングサイトに掲載されています。


北海道・各自治体の独自支援
国の移住支援金とは別に、北海道の各市町村が独自の支援制度を設けています。住宅・子育ての2分野から、代表的な例を紹介します。
【住宅関連の支援例】
| 自治体 | 制度名・内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 函館市 | まちなか住宅建築取得費補助金 | 最大200万円 |
| 芦別市 | 移住者向け新築住宅購入費助成 | 最大470万円 |
| 美瑛町 | 住宅取得助成(新築50万円+転入者加算20万円+子育て加算等) | 新築の場合、町内業者施工で最大270万円 |
| 赤平市 | 転入世帯向け民間賃貸住宅家賃補助(まごころ商品券で支給) | 月額上限あり |
【子育て関連の支援例】
| 自治体 | 制度内容 |
|---|---|
| 上士幌町 | 子育て住宅建設助成(中学生以下の子ども1人あたり100万円)。認定こども園の保育料は10年以上無料を継続 |
| 白糠町 | 「太陽の手子育て支援」として手厚い支援策を展開。給食費無償化、高校生までの医療費助成 |
| 北斗市 | 高校卒業までの医療費全額助成。第2子以降の給食費無料。放課後児童クラブ月額1,000円 |
ここに挙げたのはほんの一例です。北海道には179の市町村があり、それぞれが独自の支援メニューを持っています。エリアごとの支援制度を詳しく見るページで、地域別に整理しています。
自治体の支援情報を横断的に検索するには、北海道移住交流促進協議会が運営する「北海道で暮らそう! 市町村検索」が便利です。住宅支援・子育て支援・就業支援などの条件で絞り込みができます。
支援金の申請タイミングと注意点
支援金には「移住前に申請が必要なもの」と「移住後に申請するもの」があります。ここを間違えると、要件を満たしていても不支給になります。
| タイミング | 代表的な制度 | 注意点 |
|---|---|---|
| 移住前 | 体験移住助成、引越し費用補助(一部自治体) | 移住前に申請・承認を得る必要あり。移住後の事後申請は不可の場合が多い |
| 移住後 | 国の移住支援金、住宅取得補助、家賃補助 | 転入後1年以内(市町村によっては3か月以上1年以内)の申請が条件 |
- 転入届を出してから支援金の存在を知り、申請期限が過ぎていた
- 国の移住支援金と自治体の独自支援を併用できると思い込んでいたが、併用不可だった
- マッチングサイト掲載前に求人に応募してしまい、移住支援金の対象外になった
こうした「知らなかっただけで数十万円を逃す」ケースは実際に起きています。移住先の自治体に連絡して、使える制度と申請スケジュールを一覧にしてもらうのが最も確実です。



制度は毎年度変わる可能性があります。この記事の金額・要件は2026年3月時点の公式情報に基づいていますが、申請前に必ず最新情報を各窓口で確認してください。
移住までのスケジュール
「いつか移住したい」を「いつまでに移住する」に変えるために、時系列で整理します。目安は移住の1年前からのスタートです。


1年前〜半年前:情報収集と方向性の決定
この時期にやることは3つ。相談窓口への連絡、家族の同意形成、仕事の方向性を決めることです。
移住相談窓口に連絡する方法は前述のとおりです。配偶者や子どもがいる場合は、家族全員が納得したうえで動かないと、移住後に深刻な溝が生まれます。「自分だけが盛り上がっている」状態に気づかないまま話を進めてしまう人は少なくありません。
仕事については、大きく4つの方向性があります。転職、リモートワーク継続、起業・就農、地域おこし協力隊です。それぞれの選択肢と現実的な収入見込みについては「北海道移住の仕事ガイド」で詳しく解説しています。
この時期に体験移住(ちょっと暮らし)へ参加しておくと、ネット上の印象と実際の暮らしのギャップを体感できます。1週間〜1か月程度の滞在が可能で、家具家電付きの住宅が用意されている自治体もあります。詳細は「体験移住の詳細」をご覧ください。
半年前〜3か月前:住居と仕事の確定
この時期に確定させるべきことは住居と仕事です。ここが決まらないと、以降のスケジュールがすべて後ろ倒しになります。
- 住居の確定(賃貸契約、空き家バンクの申込、公営住宅の応募)
- 仕事の確定(内定受諾、開業届の準備、リモートワーク移行の社内申請)
- 子どもの転校手続き(在籍校への連絡+転入先の学校への連絡)
- 退職の意思表示(勤務先への報告。就業規則で定められた期日を確認)
地方の物件は、都市部と比べて選択肢が少ないです。「賃貸が見つからない」というのは冗談ではなく、人口の少ない町では空きが出るまで数か月待ちというケースもあります。空き家バンクの活用や、自治体が運営する定住促進住宅も視野に入れてください。
3か月前〜移住当日:引越しと届出の準備


北海道への引越しは、本州内の引越しより時間がかかります。特に本州からの場合、荷物はフェリー便で輸送されることが多く、通常の引越しより1〜2週間余裕を見る必要があります。
引越し費用も距離に比例して高くなります。東京から札幌への4人家族の引越しで、40〜80万円程度が相場です。繁忙期(3〜4月)を避けるだけで費用が数万円〜十数万円変わるため、時期の調整は重要です。複数社から見積もりを取って比較することをおすすめします。
引越しまでに済ませておく届出・手続きの一覧です。
- 転出届(現住所の市区町村役場で。転出予定日の14日前から届出可能)
- 国民健康保険の資格喪失届(国保加入者の場合)
- 児童手当の受給事由消滅届(子どもがいる場合)
- 電気・ガス・水道の解約手続き
- 郵便局への転居届
- スタッドレスタイヤの準備(冬季に移住する場合は必須)
11月〜3月の北海道は積雪・凍結が当たり前です。引越しトラックが予定どおり到着しない、荷解きの日に吹雪で外に出られない、水道管が凍結して初日から水が出ない。こうしたトラブルは珍しくありません。可能であれば、4月〜10月の移住をおすすめします。
移住直後にやること
転入届の提出期限は、引越し日から14日以内です。転入届を起点にして、ほかの届出が連鎖的に必要になります。
- 転入届(移住先の市区町村役場で。マイナンバーカードがあれば手続きが一部簡略化される)
- 国民健康保険の加入手続き(退職して社保を抜けた場合)
- 国民年金の住所変更届
- 免許証の住所変更(最寄りの警察署 or 運転免許試験場で)
- 車のナンバープレート変更(管轄の運輸支局で。住所変更から15日以内)
- 子どもの転入学手続き(転入先の教育委員会 → 学校)
- 児童手当の認定請求(転入先の市区町村窓口で。転入日の翌日から15日以内)
退職後に失業保険を受給する予定がある方は、移住先のハローワークで求職の申込みを行ってください。自己都合退職の場合、受給開始までの待機期間は原則2か月です。失業保険の申請方法と受給額の計算については「失業保険の申請方法と受給条件」で解説しています。
届出の順番や必要書類は自治体によって微妙に異なります。転入届を出す際に、窓口で「移住に伴い必要な届出の一覧」を確認するのが確実です。
よくある不安と答え
移住を検討する方から編集部に寄せられる質問をまとめました。
Q. 移住して後悔する人はいる?
います。後悔の主な原因は、冬の厳しさへの覚悟不足、仕事のミスマッチ、地域の人間関係です。特に「思っていたより雪が多くて外出がおっくうになった」「地域の付き合いが濃すぎた」という声は定番です。
対策は、移住前の体験移住です。最低でも冬を1回経験してから判断してください。1週間でも、雪かきの頻度や買い物の不便さは実感できます。
Q. 貯金はいくら必要?
目安は「生活費3〜6か月分+引越し費用+住居の初期費用」です。たとえば月の生活費が25万円の3人家族なら、75〜150万円の生活費に加えて、引越し費用(40〜80万円)と住居の敷金・礼金(家賃2〜3か月分)を合算した金額になります。
仕事が決まった状態で移住するなら3か月分で足りるケースもありますが、移住後に仕事を探す場合は6か月分を見ておいてください。失業保険を受給できる方は、その分を差し引いて計算できます。
Q. 賃貸が見つからないって本当?
札幌や旭川など都市部は物件数が豊富ですが、人口数千人の町では賃貸物件がそもそも数件しかないケースがあります。空き家バンクを活用すれば選択肢は広がります。北海道の多くの自治体が空き家バンクを運営しており、相場より安い価格で住宅を取得・賃借できることがあります。


自治体が定住促進住宅や公営住宅を用意している場合もあるので、相談窓口で確認してください。
Q. 車がないとダメ?
札幌市中心部を除き、車はほぼ必須です。地方では最寄りのスーパーまで車で15分というのは珍しくありません。公共交通機関も本数が限られるため、車なしで日常生活を回すのはむずかしいと考えてください。
中古車の相場は車種・年式によりますが、軽自動車であれば50〜100万円程度で購入できます。冬道を走る場合はスタッドレスタイヤが必要です(タイヤ4本で3〜8万円程度)。
Q. 冬の運転が怖い
怖くて当然です。道民でも冬道には緊張します。自治体や自動車学校が「冬道講習」を開催している地域もあるので、移住直後に受講することをおすすめします。
コツは「急ブレーキ・急ハンドル・急加速をしない」こと。速度を落として車間距離を多めに取るだけで、事故のリスクは大幅に下がります。最初の冬を乗り越えれば、翌年から感覚がつかめてきます。
Q. 単身でも移住支援を受けられる?
受けられます。国の移住支援金は単身の場合60万円です。世帯(100万円)より金額は少なくなりますが、要件を満たせば単身でも申請できます。自治体の独自支援についても、単身者が対象に含まれている制度は多くあります。移住先の自治体に確認してください。
移住は「情報を集める」より「人に聞く」ほうが早い
制度の概要、スケジュール、届出の一覧。この記事で伝えられることは一通り書きました。ただ、記事はあくまで「一般論」です。あなたの家族構成、貯蓄額、仕事の状況によって、やるべきことの優先順位はまるで変わります。
最初の一歩は、相談窓口に連絡すること。「まだ何も決まっていないんですが」で構いません。それが一番早い情報収集の方法です。
制度情報は2026年3月時点の公式情報に基づいています。移住支援金の金額や申請要件は年度ごとに変更される可能性があるため、申請前に必ず移住先の市町村および内閣府地方創生 移住支援金ページで最新情報を確認してください。
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北海道への移住、考えていませんか?
KURASO HOKKAIDO編集部では、北海道への移住を検討中の方を対象に、個別の相談をお受けしています。「何から調べればいいか分からない」「仕事と住まいを同時に探したい」など、漠然とした段階でも構いません。
→ 移住相談・お問い合わせはこちら(北海道内の地域が対象です)
